近頃はあまり、あらたまった訪問をする機会がなくなりました。行くにしても気をつかわずに訪ねられるところばかり。お客様を迎える方も、堅苦しい作法を相手に求めたくないと思うむきもふえ、また、そもそも作法を知識としない、もともと気になさらない方も増えています。

しかしだからこそ、あらたまった訪問のマナーを知っていることは他と差をつくる絶好のチャンス。いつ、本当にあらたまった訪問をすることになるかわかりません。

それに、気にしなくてもらわなくていいと思っていてもやっぱり、きちんとしたマナーができる人は、それだけで高い評価を得られるというもの。ここで少し、基本的なマナーをおさえておきましょう。

まず、訪問の前には、行き方や所要時間をきちんと確認しておきましょう。当日になって慌てたり、時間に遅れることなどないように、あくまでスマートでエレガントな訪問をめざしましょう。

しかし、時間に遅れないと言っても、早く着きすぎるのもマナー違反。先方も準備に追われていることがありますので、早くても五分前くらいに到着しましょう。

先方の準備が遅れているかもしれないので、三分ほど遅れていくのがよいとする説もありますが、どちらを取るかは相手先によって使い分けましょう。

手土産は前日までに用意すること。当日ではバタバタしてしまいます。訪問先の近所で購入するのも、いかにも間に合わせのような心証を与えるのでNG。持って行くものに関しては、日持ちや数をきちんと考えて。

よくクイズの問題などになりますが、コートはチャイムを押す前に脱いでおくのが正しいマナーです。そして外の埃などを持ち込まないという印として、脱いだコートは裏返し、裏地を表にしてたたんで持ちます。

ここで注意したいのが、これは日本用のマナーだということ。欧米ではコートを脱いで入ってくるのは、ややずかずかと上がり込む印象。コートを着たまま玄関に入り、お脱ぎくださいと促されて脱ぐものです。訪問先のお宅に応じてそのあたりの調整をしましょう。

靴を脱ぐ時は、お宅の中におしりを向けてしまわないように。まず自然に靴を脱ぎ、そのあと、完全に後ろを向かないように少し身体を斜めにして身をかがめ、脱いだ靴をわきによけましょう。

洋室に通されたら、座って待っていたとしても、家の人が来たら立って挨拶。その際手土産は、座る前に渡します。持参の袋からは出して渡すもの。和式の場合は座布団は当てずに家の人を待ちます。

出していただいたものは遠慮なくすべていただきましょう。飲み物のリクエストを聞かれても、気をつかわずにはきはきと返事をする方が、気分がよいし、もてなす方も助かります。

お手伝いなどは、親しい仲でなければ、申し出てもらってもかえって気を遣うもの。また、台所や他の部屋をお客様にお見せしたくない場合があるかもしれません。

気になるようなら一言お手伝いを申し出て、辞退されたら無理に手を出さない方が印象がよいようです。訪問客には訪問客の振舞いが必要、と思って謙虚ながら落ち着いて。

用件が済んだら長居は禁物。早めにおいとましましょう。おもてなしのお礼を行って帰路につきます。コートは玄関の外で着ます。帽子、手袋もそのように。