「梅は咲いたか、桜はまだかいな」という言葉を耳にしたことはありませんか?これは江戸時代以降に流行した「端唄(短い歌謡)」である「梅は咲いたか」の冒頭の歌詞です。

寒い冬を越えて、花の蕾のほころび出す、春を心待ちにしている人も多いのでしょう。梅の花に冬の雪解けを感じ、やがて来る、桜の季節を待ちわびる気持ちがこめられているようですね。

春には桃の節句(ひな祭り)、お彼岸、端午の節句などの行事が行われます。春といえば、暦の上では、まずは「立春」から始まります。「立春」はだいたい、二月の四日ごろ。まだまだ寒さが厳しい時ですが、ここから「春」のスタートです。

ところによっては梅が咲き始めるのもこの頃です。この立春から春分の期間の間の、その年に初めて吹く南よりの強い風を「春一番」といい、これが吹くといよいよ春近しと思われるようになります。

次に春の話題となるのが「啓蟄」でしょう。天気予報、気象情報などでも、当日には「今日は『啓蟄』です」と述べられることがよくあります。

この「啓蟄」とは二十四節気のうちのひとつで、「地中で冬眠していた虫が、地面が暖まったので、穴から出て動きだす頃」のことです。「蟄」が「(虫などが)地中にこもる」という意味、「啓」が「ひらく」という意味の言葉です。

日付としては、三月の六日前後がそれに当たりますが、その日から春分前日までの期間を「啓蟄」と呼ぶこともあります。本格的な春が、スタートする頃と言えるでしょう。
また、「啓蟄」は春の季語にもなっています。

そしていよいよ、三月の二十一日前後に「春分」を迎えることになります。昼と夜の時間がほぼ同じになるのがこの「春分」で、この日を境に、昼の時間の方が長くなっていきます。

また、この春分をはさんだ前後七日間が春のお彼岸です。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますとおり、冬の厳しい寒さが和らぎ暖かさを感じられるようになるのもこの頃から。気象庁などのデータによると、「暑さ寒さ」は本当にお彼岸の頃におさまっているのだとか。ただの慣用句ではなかったのですね。

四月五日前後には、「清明」を迎えます。これは「清浄明潔」という言葉を略したもので、春の清々しさ、明るさが感じられる頃。桜などの花が咲き誇るのもこの頃です。

「清明」を過ぎると四月二十日前後には「穀雨」となります。これは、春の雨が降り出す頃、というほどの意味で、この頃までに田畑の準備を整えます。稲作中心の生活をしていた頃には重要な節目の日となっていたことでしょう。

「立春」から数えて八十八日目、「立夏」の直前が、「夏も近づく八十八夜」の歌で有名な「八十八夜」で、五月二日頃となります。以前は「八十八夜」は種まきの目安の日となるなど、これも重要視された日であったようです。

また、「八」「十」「八」という字を組み合わせると「米」という字になることからも、特に農業や米づくりに携わる人や地域では特別な日とされていたようです。今でも神事が残る地域も見られます。また、この日に摘んだお茶は良いものとされ、また、この日にお茶を飲むと長生きするとも言われています。�